山仕事の歴史を知る

昔から使われてきた林業の道具の一部や、伝統技術を少しだけご紹介します!

道具

  • 斧(ヨキ)

    手斧のこと。チェーンソーが登場するまではヨキで木を伐っていました。ヨキより刃先の幅が広いものが「マサカリ」。

  • 楔(ヤ)

    木が倒れる反対側に入れた切り込み(追い口)に打ち込むクサビ。

  • ガンタ

    藪出し(倒した丸太を移動すること)で、丸太を押したり、テコの原理を利用して回転させるために使う道具。

  • 鳶口(トビグチ、トビクチ)

    丸太に鉤(かぎ)をひっかけて移動・運搬・積み上げ等をするための道具。

  • 鎹(トチ)

    丸太に打ち込み、環の部分に縄をかけて木材を運搬するために使用する金具。

  • 大鋸(オガ)

    前挽き大鋸(まえびきおが)、木挽鋸(こびきのこ)とも。人力で製板するための大型で幅広のノコギリ。

  • 二人挽き鋸
    (フタリビキノコ)

    丸太を一定の長さに切る(玉切り)ための二人用のノコギリ。

  • マド鋸(マドノコ)

    横びきで使用する、刃に木屑を外に逃がすための切れ目(マド)が入ったノコギリ。

  • 釿(チョウナ)

    木を削るための道具。製材には長い柄がついたものを使う。(写真は「手チョウナ」で、臼を掘る際などに使用。)

「木出し」の方法

木馬(キンマ、キウマ)

山から丸太を運搬するための木製のソリ。はしご状に丸太を組んだ木馬道を人力で牽引した。険しい崖や谷を通すときには桟橋やつり橋をつくり、木馬を通した。林道ができるまで、山からの運搬方法は木馬がよく使われた。

  • 桟橋の上で木馬を曳く様子

  • 実際に使われていた木馬

  • 片桟橋

鉄砲堰(テッポウゼキ)

丸太を組んで作った一種のダムで、水を貯めた後、堰を切って伐採した木材を水と一緒に一気に下流へと押し流す装置。鉄砲堰によって木材を流すことは鉄砲流しと呼ばれ、河川上流部の少ない沢水を巧みに利用して、山奥から木材を運搬するための技術だった。「中津川の鉄砲堰製作技術」として、国選択無形民俗文化財になっている。

秩父市合併記念事業として復元された鉄砲堰の様子(YouTube)

修羅(シュラ、シラ、ヒラ)

勾配の急な場所で、谷筋に沿って丸太を縦に並べて樋(とい)のようにし、その上を材木を滑らせて土場(どば・木材の一時集積場)まで下す設備。これを使って丸太を山から運ぶことを「修羅出し」といった。「木屋」と呼ばれる職人がトビで丸太を一本一本滑り落とし、最後は修羅として使った丸太を上から崩して土場へおろした。

昔の林業のことをもっと知りたい!という方は

> 彩の国ふれあいの森 埼玉県森林科学館

自然・森林の大切さについて総合的に学べる体験型施設。秩父に縁が深い「日本最初の林学博士」、本多静六博士の紹介コーナーもあり。

> 埼玉県立 川の博物館

荒川を通じて、水、そして自然の大切さを楽しく学べる体験型博物館。鉄砲堰の大型模型で行う「鉄砲堰実演イベント」も実施。

> 大滝歴史民俗資料館

山林用具の豊富な展示のほか、江戸時代、幕府直轄の山であった「御林山」と、村人たちの生計を支えていた「稼山」(かせぎやま)について学べる。

> 荒川歴史民俗資料館

2階、農林用具コーナーで、荒川地区で実際に使用されていた山林用具を展示。

> 浦山歴史民俗資料館

浦山の暮らしを支えた伝統的な生業のなかでの林業が紹介され、浦山地区で使用されていた山林用具を展示。

※施設についての詳細は、各施設の管理者に直接お問い合わせください。