「森を活かし、森と生きる」

 

みんな思ってたんです。林業はこのままじゃだめになるって。

 

1951年の拡大造林で植えられた人工林は、もう伐期を迎えている。何とかしてそれをお金に換えて、その後の森林の姿を考えることが必要だと考えました。それは「千年の森委員会」の理念でもありました。それからは、いろんな山を調べはじめましたね。当初はブナに注目していました。ブナ林は今も大滝の奥に群生地があるんですが、拡大造林以前の山を知っているご老人に伺ったら、大山沢、大若沢(秩父市中津川)あたりは全部ブナ林だったっていうんですよ。人工林にするためにブナをほとんど切ってしまってから、山や沢が荒れてしまったっていう話を聞いて、ブナ林を再生したいと思ったんです。

 

それが森との最初のかかわりだったわけですね。

 

でも、ブナを植えても結局は自分たちで木を植えているっていう自己満足でしかなかったんです。これじゃあ続かないって思って、山中さんに、「やっぱりこれじゃだめだ、業として成り立たせて、大滝の人が食べていける仕組みを作らなくっちゃ」って話したんです。補助金頼りじゃなくって。自分たちで何かを考えて、自分たちで何かを生み出さないといけない。私も、自分がやりたいことを真剣にやっていこうと思い立ちました。森の再生のことを、そして自分が言い出したカエデのことをさらに突き進めて、どこに出しても恥ずかしくない、新しい地域の仕組みをつくろうとして本気で動き出したんです。

 

カエデの苗を車に積み込む

カエデの苗を車に積み込む

今後は、カエデ植樹のモデルケースを作っていきたいと考えています。既存の自然林を参考にしたうえで、1ヘクタールの山に対して100~120本のカエデを植えるのがちょうどいいのかなと。そこに自生している樹種の比率のバランスが、やっぱりその土地の自然の形ですよね。調べると、自然林でもカエデの比率は高いんです。これも、カエデを植えていくことについての一つの根拠になりましたね。あとは、シカとの戦いですね、本当に。

 

そうして育てていく山の将来の姿を見ることができるのは、もう次の世代になります。長い年月を経ないと結果が出ないのが既存の林業の難しさですよね。だけど、カエデは毎年樹液が取れる。この「伐らない林業」で少しずつ資金を増やしながら「伐る林業」を支えていき、伐期を迎えたらいよいよ材を出す。この新しい林業の形をつくりあげるのが目標ですね。

 

島﨑さんたちの取り組みに、若い世代は参加しているんですか?

 

カエデの苗植樹の様子

カエデの苗植樹の様子

こうやってどうにか動き出した取り組みを、若い人につなげていく仕組みを作るということが今後のテーマなんです。今、何人かの大学生、大学院生が興味をもって関わってくれています。山から木材を出すだけでなく、そこに生えているカエデの樹液が、まちに出てきて商品になっている。これを面白いといってくれるんですね。ただ悩みなのは、こうした取り組みをわかってくれて、実際にやろうとしてくれる地元の若い人がいないということなんです。これは本当に難しいことで、うちのせがれなんかも、「木なんかいっぱい生えているじゃん」っていうわけですよ(笑) 若い人じゃなくてもそんなことを言う人たちはいっぱいいたし、「こんな大変な思いをしてほんとに木が育つのか」とも言われました。

 

森を通じて、子どもたちが秩父を誇れるように

 

ふたばの森

ふたばの森

地元の秩父ふたば幼稚園とやっている「ふたばの森づくり」という事業があります。子どもたちは、泥んこ遊びをしながら、自分たちが拾ってきたどんぐりを牛乳パックで作ったポットに植えます。やがて芽が出て、どんどん育っていくコナラやクヌギ。幼稚園の先生も「島﨑さん、芽が生えてきましたよ!かわいいですね」なんて言ってくれて。3年もすると、「こんなに大きくなるんですね!」って驚いてくれました。

 

 
ドングリの苗植え替え

ドングリの苗植え替え

それじゃあ、いよいよ山へ植えましょうっていうことで4年目に植樹をしましたが、みんな愛おしそうに木を植えてくれましたよ。「ああ、木を植えるっていいなぁ」と思いました。10年もたって子どもが大きくなったら、「この木はわたしが植えたのよ」って言ってくれるかもしれませんね。最初に植樹した木がもうそろそろ実をつけるから、「そしたら先生、そのドングリで遊びをしませんか?」って話すんです。卒園した子どもたちが植えた木からとれたドングリで今の園児たちが遊んで、「じゃあ、みんなも植えようね。」となるわけです。

 

 
ぶたばの森植樹

ぶたばの森植樹

子どもたちは、小さいときから木に接して、森が長い時間をかけて育っていくことを学びます。私たちが住む秩父は、すべての生き物、水を育くんでくれる森に抱かれている土地。将来、子どもたちが郷土に誇りをもち、森と関わってくれるようになったらうれしいですね。やっぱり大事なのは教育です。ただ「勉強しましょう」じゃなくって「一緒に楽しみましょう」って言わないとダメです。そうやって長い目でみて、だんだんと地元の山を、森を考えてくれる人たちを増やしていきたいですね。

 

将来、例えば20年後、林業を取り巻く情勢がどうなるかは解らない。今の段階で何が正しい答えなのかは解りませんよ。だから、今の取り組みを正しい答えにしていく努力を、みんなでしていくしかないんです。山から里へ、多くの人を繋げる仕組みを上手くつくりたいですね。共鳴してくれる人がだんだん増えていけば、いずれ大きなものになる。そう思うんです。

 

 

 


■関連情報

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秩父樹液生産協同組合

特定非営利活動法人 秩父百年の森

秩父観光土産品協同組合 電話0494-23-5463

 

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