「森を育てて、お菓子を創る」

 

秩父のメープルは、外国産に比べてコクがあって、栄養価が高い!

 

外国産のメープルと国産のメープルの味の違いってあるんですか?

 

実際なめてみてもらうとわかるんですが、簡単に言うと、カナダのメープルはサラっとしていて、それに対して秩父産メープル(秩父カエデ糖)はコクがありますね。さらに、カナダ産のメープルシロップに比べて秩父産のものは、カルシウムが2倍、カリウムが3倍含まれているとのことです。この理由はまだわかっていないんですが、たぶん、秩父はイロハモミジやヤマモミジが多く、それらにミネラルが多く含まれているんじゃないかといわれています。カナダのものは、単一種でサトウカエデ(シュガーメープル)から樹液を採っているんですよ。秩父でシュガーメープルに近いのはイタヤカエデ。イタヤカエデの樹液はサラッとしています。それも何故かはまだわかっていないんですけどね。

 

国内でカエデ樹液の研究ってこれまでにされてきたんですか?

 

樹液採取の様子(三峰にて)

樹液採取の様子(三峰にて)

カエデ樹液に関する文献って、主だったものはこれまでに2件しかないんですよ。昭和15年の北海道帝国大学の論文と、平成20年にその論文を追従したものだけなんです。昭和15年の論文には、「樹液は商売にならない」「なんで樹液が出るかわからない」と書かれていました。平成20年の論文でも、「なんで樹液が出るのかわからない」まま。それで東京大学の話だと、どうも2説あって、1つは、もともと木は樹液を抱いたまま寝ているという説。冬場に木を切るととても硬いけど、あれは樹液が凍っているからだっていうんです。木って中心は死んでいて外側だけ成長しているんだけど、その部分でしか樹液は取れない。これがいわゆる「集束帯」というものなんですが、樹液のパイプですよね。ちなみに、これがストローのように真っ直ぐだと僕たちは思っていたんですけど、東大の人が言うには、スパイラル(らせん状)に上がっているらしいと。それを今年(平成25年)の実験で確かめているんです。もう1つは、昼間と夜間の気温差のせいで、あたたかい昼間には木が膨張して、夜は寒いから木も縮む。これがスポイトのような効果を生んで、夜寒いから、昼間にスポイトのように土中の根から水分を吸い上げて、樹液を生成しているんだという説。木に穴をあければ、内圧がかかっているから樹液が外に出てくるということなんですね。どっちの説でも、カエデの樹液は芽が出た瞬間に止まるのは解っていて、止まる時期はどっちの説も同じ。だから樹液を採るのは冬ですね。春になると芽が出て止まってしまうんです。

 

まだまだ広葉樹の研究はされていないから、秩父のカエデでいろいろデータをとって実験してみたいと考えています。そうすればまた違う使い方もできるかもしれないですね。

 

カエデの森づくりへの取り組みも積極的にされていますね。

 

植樹活動の様子(定峰にて)

植樹活動の様子(定峰にて)

戦後、それこそ全国でそれまでの天然林を伐採してスギやヒノキを植林してきたという事実がありますよね。そこを全否定するのではなく、過去は過去として、埼玉県では間伐したところに広葉樹を植えて徐々に昔の山に戻していく、というやり方をしています。それが秩父ではカエデ、ということになるわけです。カエデって陰樹なんですよ。だから成長するのに少し陰が必要だから、間伐地に植えるのは理にかなっていると思うんです。それに、地域の人と一緒になって森づくりをするというのはとても大事なことです。今後も続けていきたいですね。

 

カエデは、人と人とをつなげてくれて、出会わせてくれる木 

 

これからの目標って何ですか?

 

「夢は世界制覇!」と語る中村さん

「夢は世界制覇!」と語る中村さん

次の目標は、世界進出、つまり輸出だと思っています。じつはカナダ ケベック、スウェーデン、韓国にお菓子のサンプル送ったら、これがうけたんですよ。それで、埼玉県内のモンドセレクション受賞者の人たちと連携して、「チーム埼玉」として売り出さないかと話しているところです。お互いどこか外国に行くときには、それぞれの地域の商品を持って行って、一緒にPRしてこれればいいなぁと思うんです。

 

最終的に、輸出は秩父地場産センターを通してやりたいという事業計画の目標がありますので、秩父自体を世界へ発信できたらと思っています。それで将来、英語が得意な若者が秩父特派員として海外で働くのも良いじゃないですか。

 

それと、「苗木の里親」の取り組みを始めようとしています。盲導犬に里親制度ってありますよね。あれみたいに、地域で苗を育ててもらって、それを中学校に入ったら生徒に配って、例えば、それぞれ家で苗を育てて、中学3年生の時にそれを山に植樹する。木を切る林業のほかに、木を育てる林業も少しづつ広がっていければいいなぁと思っています。

 

カエデって不思議な木なんですよ。人と人とをつなげてくれるんです。カエデのお菓子をやらなければ、森林に関係する人たちと出会って一緒に仕事をすることはありませんでした。いろんなところに講演に行かせてもらっていますが、必ず「カエデの話をして」って言われるんですよ。そういう、人の心をつかむ不思議な木。なぜかという答えは出ないんだけど、カエデがあるところには、人と人との出会いがある。そこに面白さを感じています。

 

 

 


■関連情報

「森の活人」支援事業紹介

秩父お菓子な郷推進協議会ホームページ

中村氏ブログ「お菓子屋三代目」

総務省「地域の元気創造プラットフォーム公式サイト」埼玉県秩父市「お菓子屋さんの地域おこし」

 

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