「今、”木を売る”ということとは」

今、木を売るということとは

戦後、国内の木材需要が高まるにつれて、全国各地でさかんに行われてきたいわゆる「拡大造林」。森林面積が約85%を占める秩父地域の山々を見渡しても、人工林はいたるところにあります。
先人たちが植えたスギ・ヒノキたちを、どうすれば売ることができるのか。これから自分の山の木をどうしていけばいいのか。林業のプロである森林組合の方が、そのヒントを教えてくれました。
(取材日:平成25年11月28日 ※現在、磯田さんはご退職されています) 

 

利益を出せるか、出せないかを、いろんな視点から見極めます 

 

自分の山の木を売りたいという問い合わせはやっぱり多いですか?

 

時折そういった問い合わせはありますね。ケースとして多いのが、お父さんやおじいさんが昔植林した山を相続したけど、自分では管理も経営もできないので売れるなら木を売ってしまいたいとか、やっぱり相続の関係で森林所有者が手放した山を手に入れたから木を売りたい、といった内容です。山は長い年月を経てそこにあり続けるものですから、そこに係っている人の人生の節々でそういった話は持ち上がりますよね。

 

なるほど。でも、森林組合さんも「どんな山でも請け負いますよ」とはならないですよね。実際に受けることができる条件みたいなのはあるんですか?

 

正直、あまり小規模なものだと、諸経費のほうがかさんでしまって利益が見込めないことも多くて、そのときには利益を出すのは難しい旨をちゃんとお伝えします。支障木を伐採することが目的で、有償になってもいいということであればお受けしますが、売り上げを見込んでの話なら、面積が5ヘクタールから10ヘクタールないと厳しいですね。実際は、そんなに広い森林をもっている方もそうはいないですから、そういったときには、所有地の周囲の森林もまとめて対応できるかを見ます。これを「施業の集約化」といいます。

 

施業集約化イメージ

 

それと、現地確認をさせていただいて、実際に木の状態を見て売ることができるかを判断します。さらには、やっぱり立地条件ですよね。基本的には林業機械が入れる作業道をつくれるところ。林内に架線を張って集材する方法もありますが、皆伐(すべての木を伐採して集材すること)じゃないと多くの場合は割にあわないし、その方法だと補助金を利用できないのがネックなんです。あとは一本一本の値段の勝負になりますね。色々な条件を複合的に判断しながら、相当効率よく山から木を出したうえで木を売って、その残りを森林所有者さんに返せるかどうか、といったところなんです。

 

なかなか利益を生むのは難しそうですね。

 

そうですね。今は、昔みたいに木を出したら出しただけ利益が見込める時代でもないですし。いろいろ勘案したうえで、経費がかかりすぎるような場所はちょっと厳しいですね。中には、「うちの山は道沿いだから条件はいいでしょう?」って言う方もいますけど、それだけでは判断できなくて、結局は作業に要する経費と、木を売った金額との兼ね合いになります。

 

ただ、手入れの行き届いていない森林って結構ありますよね。そうした森林は、未来永劫、木を出せないかっていうと、必ずしもそうではないんですよ。そういうときこそ、「施業の集約化」を行います。周辺の森林所有者に森林の間伐と搬出の話をし、了承を得て、5ヘクタール以上、なるべく大規模に森林をまとめ上げて一緒に木を出すわけです。そうすれば、作業コストを下げたり、私たちの企業努力を発揮する機会も増えるので、手入れの行き届いていない森林の所有者にも、ビックリする程ではないと思いますけど、お金を還元できる可能性が出てくるんですよ。

 

そもそも、木を売るにはどんなパターンがあるんでしょうか。

 

市場(秩父広域森林組合 木材センター)

市場(秩父広域森林組合 木材センター)

秩父地域の例ですと、一つは、木を出すところから、市場(秩父広域森林組合 木材センター)で売るところまですべて森林組合に委託していただく方法。他には、大きな製材屋さんなどで素材生産(木を伐採し、集材、搬出をすること)をやっているところへ、立木の状態で売却する方法。このパターンでは、そのまま製材していく場合のほか、丸太の状態で市場に出す場合もあります。あとは、自分が所有する森林の木を自分で伐って市場へ出荷する方(自伐林家)もいますよね。林業の本来の姿であるとは思うんですが、秩父地域全体でみても自伐林家さんは大変少なくなりました。

 

 

森林組合さんが請け負う場合に、実際に木を出してから、市場へ出荷するまではどういった流れになっているんですか?

 

森林組合では、おおむね以下の行程で進めていきます。

区 域 確 認
別の所有者の森林の木を間違えて伐ってしまうこと(誤伐)を防ぐためです。
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現 地 踏 査
作業現場の確認です。
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作 業 道 開 設
林業機械が林内に入れる道をつくります。
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伐 倒
チェーンソーや高性能林業機械を使って木を伐っていきます。
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造 材
伐倒した丸太の枝払いなどをしながら、一定の長さに切る(玉切り)ことをしていきます。
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集 材
林業機械を使って丸太を土場(作業道の脇など、丸太をまとめて置いておくところ)へ集めます。
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運 搬
土場に一定量が集まったら、契約する運搬専門業者の方に市場まで運んでもらいます。

 

※木材センターに運び込まれてから入札までの流れはこちらのページをご覧ください。

秩父広域市町村圏組合ホームページ内「木材センター」

 

 

市場で需要が多いのはどんな材なんですか?

 

ヒノキ

径級別で一番いい値がつくのは、柱材になる末口(丸太の細い方の直径)24cm前後のものですね。樹種別ではやっぱりヒノキの方がスギより高いです。イメージ的に、太い木(大径木:たいけいぼく)は見た目にも材積がありそうだし高そうですが、逆に安くなってしまうことも多いです。理由としては、製材屋さんが持っている機械に入らなかったり、入れにくかったり、製材に手間がかかってしまうため嫌われるんですよ。

 

 

 

 

 


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